こんにちは、ナンパで出会った妻の母国フィンランドでブログを書いているプロブロガーのCaptainJack🇫🇮(@CaptainJacksan)です。
ベーシックインカムが世界中で議論されている今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。僕凄い違和感を感じることがあって、ベーシックインカムについて議論する側の人間って、基本的に富裕層なんですよね。
年収何億とかじゃないにしろ、大学教授とか学者とか政治家とか、専門家としてテレビなどのメディアに出て意見を言う立場の人たちばかり。
まぁそりゃ制度を作る側が貧乏なはずはないんですけど、ベーシックインカムで最も恩恵を受けるのは経済的下層にいる人たちなので、テレビとか記事とかでベーシックインカムについての話を見るたびに、そのギャップを強く感じてしまいます。
というわけで!(うるさい)
今日は世の貧民を代表しまして、『フィンランド在住の多重債務者である僕は、なぜベーシックインカムを支持するのか』というテーマについて書いてみたいと思います!
⚠️ この記事で扱うのは、フィンランドにおけるベーシックインカム導入の是非についてです。日本とは事情が違うことに注意してくださいね!
↓僕の貧困にまつわるバックグラウンドはこちら!
- 詐欺師に騙されピーク時の借金680万円(現在361万円)
- たまたまフィンランド人の配偶者がいたため
- フィンランドで非雇用者手当受給の資格があり
- フィンランドへの移住を決意(2016年10月)
- そのお金で生活費をまかないながらブログ・アフィリエイトに打ち込む
- がんばるも、2017年7月31日時点の口座残高総額5,095円
- 最近になってようやく風向きが変わり始める(2017年8月)
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目次
ベーシックインカムとは
まずベーシックインカムについて簡単な説明を。
ベーシックインカムは、全ての国民に一定の金額を毎月給付する社会保障システムです。
Wikipediaでは、「ベーシックインカムとは最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給するという構想」とされています。
BIのメリット
以下のようなメリットが挙げられます。
- 貧困対策
- 少子化対策
- 地方の活性化
- 行政コストの削減
- 労働意欲の向上
- 失敗を恐れずに経済活動でき、学生が勉学に励むことができる
BIのデメリット
以下のようなデメリットが挙げられます。
- 財源の不安
- 所得の海外移転
- 勤労意欲の低下
- 外国人や特別永住者などの取扱い
メリット・デメリットを簡単にまとめると、「最低限の生活が無条件で保証され、生活の質が向上する」一方、「財源は十分なのか、働かない人が増えるのではないかと懸念されている」という感じですね。
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社会的弱者はベーシックインカムにより救われる
簡単な説明を終えたところで、多重債務を抱える貧民として、なぜ僕がベーシックインカムを支持するのかについて書いていきます。
いきなりクリティカルな理由なんですが、ベーシックインカムには社会的弱者の人生を一変させる力があるんです。
ここで言う社会的弱者とは、例えば以下のような人たちを指します。
- 貧困層
- 失業者
- 低賃金・ブラック労働従事者
- 生活保護受給者
- 障害を持つ者
- 家族に重度の要介護者を抱える者
- 知能指数の低い健常者
- 能力・学歴の低い者
- 身寄りのない者
- シングルマザー、シングルファザー
いかがでしょう。自分には無関係だと思いましたか?
ちなみに、多分いたって普通に見えると思われるであろう僕にも、「無賃金・極悪ブラック労働従事者」だった過去があり、現在も「貧困層」「障害を持つ者」(バイク事故の後遺障害認定)に当てはまります。
これらの一つ一つが、人生を破綻させる可能性のある強力な負の力を持っています。
では、ベーシックインカムによって彼らはどのようにして救われるのか。
借金680万円から債務整理し、2年経った今もまだ借金361万円を抱える多重債務者の僕が、社会的弱者・当事者の立場から説明しましょう!
働かず手当で生活しているという劣等感から解放される
生活保護や失業保険の受給者は、手当で生活しているという劣等感から徐々に自信を無くし、大切な自立心を失っていきます。
全ての人がそうではありませんが、特に長期に渡って保障が行われる生活保護の場合はその傾向は顕著出そう。
もちろんどうしても一生生活保護を受け続けなければ生きていけない状況の人は堂々と受給し続ければ良いのですが、問題はそうではないボーダーにいる人が気力と自立心を失ってしまうこと。個人の幸福が損なわれるばかりでなく、国家としても国力の損失にもなります。
一方、ベーシックインカムは全ての国民(もしくは住民)が受給対象となるため、他者と比較して劣等感を感じることはなくなります。全ての人が毎月同額受給しているので、誰とも差がつかず、みんな平等だからです。
働いても減額されず労働意欲を刺激する
日本の失業保険・生活保護と、フィンランドの非雇用者手当・ベーシックインカム(予定)の比較表
ベーシックインカムは、仕事の有無とは関係なしに全国民(または居住者)に一律に支給され、いくら稼いでいようと減額されることはありません。ここが働くと減額される失業保険や生活保護と大きく異なるところで、つまりベーシックインカムは最低限の生活を保障しながらも、労働意欲を奪わないのです。
上の表を見てみてください。生活保護や失業保険の場合、働いたら働いた分だけ手当から減らされてしまいます。つまり、手当てを受けている今の状態と働いた時の収入がそんなに変わらないという事態になってしまうんです。
そんなわけなくない?と思った方も多いでしょう。働いたら給料はもっと多いはずだと。現実として、困窮を極める社会的弱者が突然収入の良い仕事を得られるケースはあまりないはずです。
生活保護のように、働いても働かなくても収入がほとんど変わらないのなら、働かないという選択をするのはその時点において極めて合理的です。しかし、ベーシックインカムは働けばプラスになるため、生活保護や失業保険と異なり、明確に働く動機になります。
▼参考記事
定期的収入の安心感が消費を助け、少子化も解消する
社会的富ってことはGDPも増えるとおもう派?
— 車輪(しゃわ) (@komei48) 2017年8月3日
日本経済は失われた20年が今なお続いていますが、財布の紐を締めるのは収入の見通しが立たないからでしょう。終身雇用制度が社会通念上の常識であった一昔前と比較して、現在の私たちは今得ている収入がいつ途切れてもおかしくない社会に生きています。
普段の生活を想像してみてください。来年ボーナスが出るかわからない、そもそも雇用され続けるかどうかもわからない状況では、大きな出費がし辛くなるのは当然です。そりゃそうですよね。その究極が結婚数の減少であり、少子化です。
その点、ベーシックインカムは毎月必ず一定額が支払われるため、いつクビになるかもわからない給与収入と比較すると、収入の見通しを立てることが容易です。
安定した収入は心を穏やかにし、人々を消費へと向かわせ、その満足感がより豊かな生活を与えてくれます。収入の見通しが立てられるのなら、子どもを作りやすい社会にもなるでしょう。
フランスで児童手当による少子化対策が成功しているように、ベーシックインカムにより、少子化問題は過去のものになるかもしれません。
ベーシックインカムにより安定した収入が見込める上、生まれてきた子供にも同じく受給資格があるのですから。
中産階級に対する恩恵は?
ここまでは貧困層・社会的弱者の視点からベーシックインカムが支持される理由について述べてきましたが、その恩恵は社会的弱者だけに留まりません。
ベーシックインカムは、中産階級以上の優れた才能を発掘する社会基盤にもなり得ます。
安定収入がセーフティネットとなり、挑戦しやすい社会を作る
フィンランドでは、企業の代表者は保障の超手厚い非雇用者手当を受けることができません。
実は日本でも会社の代表として登記されてる者は失業手当を受け取ることができないのですが、日本の失業保険と違い、フィンランドの非雇用者手当は途中で数ヶ月の労働を挟む限りほぼ無期限で受給することが可能です。
支給条件もゆるい上、“非雇用者”手当と訳している通り、受給対象者は失業者だけに止まりません。再就職のため職業訓練校や大学に通う学生となった場合でも支給されるという、強力なライフラインです。
起業に失敗した際に非雇用者手当を受給できなくなるという事実は、現在のフィンランドにおいて起業を志す多くの国民に二の足を踏ませる大きな要因となっています。
非雇用者手当というセーフティーネットを手放したくないため、アイデアはあっても結局起業しなかったというケースは少なくないはず。これでは国の経済成長を阻害していると思わざるを得ませんし、実際に非雇用者手当を支給するフィンランド社会保険庁事務局の要職者も現状をそのように捉えているようです。
フィンランド社会保険庁事務所Kelaの法定給付庁の代表、マルユッカ・トゥルネン(Marjukka Turunen)氏は、この試みは少なくとも起業家志望者にビジネスをスタートさせる大きなきっかけを与えるだろうと予想する。今日のフィンランドの事業主は廃業してしまったら失業手当を受け取れないため、起業は大きなリスクとなっている。
「現行の制度は、何かにチャレンジし、人生から何かを得ようとする人たちにかなりマイナスなものになっています。それがどれだけ小さなことでもです」と、同氏は語る。
好きなことだけして生きられる社会になる
これは想像に難くないかもしれません。ベーシックインカム下の社会では、生活のために嫌な仕事を続ける必要がなくなります。もちろん支給額によるのですが、BI+好きなことで生計を立てられる人の割合は爆発的に増える可能性があります。
仮に、ベーシックインカムで月600ユーロ(8万円)支給されるとしましょう。僕たちのようなフィンランドの子なし夫婦の場合、2人で16万円もあれば家賃も含めて全ての生活費を賄うことができるため、最低限+αの生活でよければ働く必要がゼロになり、自分の好きなことをやる自由が生まれます。(フィンランド移住後の生活費を詳細に解説!国内第7位の都市ポリで妻と2人暮らしの例)
自分の好きなこと、例えば読書、旅行、写真、バンド、ブログ、なんでもいいです。それらを消費するだけでなく、生産者としてなんらかの形で世の中に“趣味として”発信していけばどうでしょうか。発信するプラットフォームはブログ、YouTube、インスタグラム、なんでもいいです。写真を販売できるサイトもあります。
額にもよりますが、数万円くらいであれば比較的簡単にお金になると思います。さらに言うと、数十万円クラスでも意外とそう難しくはないかもしれません。これはなぜかと言うと、BI下の社会では働かなくとも生活が保障されているため、自分の時間を100%趣味に充てることが可能だからです。
好きなことだけやる自由が生まれる→ 好きなことが仕事になる という夢のようなケースですが、BI下の社会では極めて現実的に起こりえる未来だと思います。
治安も良くなる
ベーシックインカムは、治安の向上にも貢献します。
治安はそこに住む人々の経済状況に比例しますが、BIによる全ての人が等しく生活を保障される社会下では、貧困による生活苦が原因の犯罪は激減するでしょう。
実際にお金持ちばかりが住むモナコでは殺人事件はほとんどありませんし、税金を多く納める富裕層にとっても、治安の向上はありがたいはずです。
現在のフィンランドも非雇用者手当の存在により全ての人が生活を保障されていますが、ベーシックインカムの場合劣等感を一切抱かせないため、手当の受給者であるという劣等感による鬱屈した感情を抱く者がいなくなります。
財源もいけそう!
財源については詳しくないのですが、フィンランドでは2017年1月1日から世界で初めて国家主導のベーシックインカムの社会実験が行われていることもあり、財政面での見通しはある程度立っているようです。(フィンランドで実行中のベーシックインカムの社会実験について【公式サイト翻訳】)
保障の手厚い非雇用者手当など、従来の社会保障の見直しを行うことで財源は確保できそうだということ。フィンランドの住民として、世界初のベーシックインカムの導入が楽しみでなりません!
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